平生業成

とりあえず生きてます

「刀は洗えば綺麗になるが、鞘はそうはいかない」

明治生まれのおばあちゃんがTVのインタビューで答えていた。


ずいぶん前に聞いた言葉が、なにかの拍子で思い出すことがある。
どうして憶えていられるのか不思議だ。
多分、婚前交渉についての質問だったと思う。
おばあちゃんの子供のころは、江戸時代の風習を根強く残していたに違いない。


結婚するまでは、操を守ることが当たり前だと考えられていたため、生娘ではないことがわかると、一生嫁に行けなかった。
キズモノと言われた。
女性が物扱いされていた時代背景が読み取れる。


戦国時代、刀は人を殺す道具だった。
ところが、TVのように一度切っただけでは人間はなかなか死ななかった。
何回も切りつけて時間をかけて殺していった。
そうやって人を切れば、当然 刀に大量の血痕が付く。そのまま鞘(さや)に収めれば、刀は洗ってきれいになっても、鞘の中についた血はもう取ることは出来ない。


武士の命といわれた刀を男に見立てて、女の地位の低さを鞘に喩えた名言である。



先日、知り合いの加工屋さんの従業員が機械に手を挟まれた。
出血がひどかったらしい。
骨に異常がなかったのが不幸中の幸いである

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